そろばんと「やり抜く力」の関係を考えるポイント


やり抜く力は失敗しても目標に向かい続ける力

「やり抜く力」は、単に長時間我慢したり、嫌なことを無理に続けたりする力ではありません。目標に向かって取り組み、うまくいかなかったときに方法を変えたり、もう一度挑戦したりしながら前へ進む力と考えると分かりやすいでしょう。

教育分野では「GRIT」という言葉で説明されることもあり、粘り強さや継続力と関係する非認知能力の一つとして注目されています。

そろばん学習では、最初から難しい計算ができるわけではありません。簡単な問題から始まり、少しずつ難しい問題や次の級へ進みます。途中では間違えることも、思うように点数が伸びないこともあります。

そこで「できなかったから終わり」ではなく、練習してもう一度挑戦する経験を重ねられることが、そろばん学習とやり抜く力を結びつける大きなポイントです。


調査で確認された忍耐力・自己効力感との関係

そろばんと非認知能力の関係については、調査によるデータも出てきています。

2026年3月には、株式会社イシドと埼玉大学教育学部による産学連携で、そろばんを学ぶ生徒1,720名を対象とした調査結果が発表されました。この調査では、そろばん学習への好意度と、自己効力感や忍耐力との間に統計的に有意な相関が確認されています。

ここで注意したいのは、「そろばんを習ったから忍耐力が高くなった」と因果関係まで証明されたわけではないことです。

一方で、そろばんを前向きに学ぶことと、「自分ならできる」と感じる力や粘り強さとの間に関係が確認されたことは、保護者にとって一つの参考材料になります。

大切なのは、そろばんという道具そのものより、どのような目標を持ち、どのように練習し、失敗したときにどう立て直すかです。


そろばん

そろばんで粘り強さを育てやすい5つの理由


そろばん学習には、子どもが「もう一度やってみよう」と思える場面が何度もあります。特に、次のような経験がやり抜く力につながりやすいポイントです。

  • 少し頑張れば届く目標がある
    今できる問題の少し先に次の課題があり、一歩ずつ成長を感じやすい学習です
  • 間違いをやり直す機会が多い
    答えが合わなければ原因を確認し、もう一度計算する経験を重ねます
  • 級や検定という分かりやすい目標がある
    「次はこの級」という具体的な目標を持ちやすくなります
  • 練習した量が結果に表れやすい
    昨日できなかった問題ができるようになるなど、努力と成長を結びつけやすい特徴があります
  • 一度で成功しない経験も学びになる
    点数が足りない、検定に合格できないといった経験から、次の挑戦につなげられます

重要なのは、この一連の経験を「失敗してはいけない学習」にしないことです。失敗しても次に進める環境があってこそ、粘り強さを育てる経験になります。


小さな目標と達成を繰り返す学習の仕組み

そろばんは、いきなり高度な暗算を目指すものではありません。数字の読み方や珠の置き方から始まり、足し算、引き算、掛け算、割り算へと少しずつ進んでいきます。

この「今できることの少し先」に目標があることがポイントです。

子どもにとって、何か月も結果が見えない目標を追い続けることは簡単ではありません。しかし、「昨日できなかった問題が今日はできた」「前より速く解けた」「次の級に進めた」といった小さな成長は、自分の努力と結果を結びつける経験になります。

こうした経験を重ねることで、「難しくても、練習すればできるかもしれない」という感覚が生まれます。この感覚が、次の課題に挑戦する土台になります。


間違いや不合格から再挑戦する経験

やり抜く力が表れやすいのは、順調なときよりも、うまくいかないときです。

たとえば、何度練習しても同じ問題を間違えることがあります。検定で思ったような結果が出なかったり、しばらく級が上がらなかったりすることもあります。

このとき、「自分にはできない」と終わらせるのか、「どこで間違えたのか」「次は何を練習するのか」を考えて再挑戦するのかで、経験の意味は変わります。

先生が答えだけを教えるのではなく、間違いの原因を一緒に見つけたり、できている部分を認めたりすることも重要です。

成功体験だけではなく、うまくいかない経験を乗り越える過程も含めて学べることが、そろばんの特徴の一つです。


集中して取り組む時間の積み重ね

粘り強く取り組むためには、目の前の課題に集中する力も必要です。

そろばんでは、数字を正しく見て、珠を動かし、答えを出すまで意識を向け続けます。読上算や読上暗算では、先生が読み上げる数字を聴き逃さず、頭の中で処理しなければなりません。

西藤珠算学院では、「正しく見ること・正しく聴くこと・正しく情報を処理すること」を重視し、集中力や判断力、最後までやり通す力の向上を目指しています。

最初から長時間集中できる必要はありません。短い時間でも集中できた経験を積み、その時間を少しずつ伸ばしていくことが大切です。


そろばん

飽きっぽい子・諦めやすい子の向き不向きと注意点


続けることが苦手な子にも成長のきっかけ

「飽きっぽいから、そろばんは続かないのでは」と心配する必要はありません。むしろ、短い目標を一つずつクリアする学習が合えば、続ける経験を積むきっかけになる可能性があります。

特に、長期的な目標よりも「今日はここまで」「この問題をできるようにする」といった短い目標のほうが取り組みやすい子には、そろばんの段階的な学習が合うことがあります。

一方で、そろばんそのものに強い抵抗があり、毎回通うことが大きな苦痛になっている場合は注意が必要です。

「続けられないから根気がない」と決めつけるのではなく、課題の難しさが合っているか、先生との相性はどうか、成功を実感できる場面があるかを確認しましょう。


「厳しく続けさせること」とやり抜く力の違い

やり抜く力を伸ばしたいからといって、「途中で辞めるのは絶対にダメ」と強制することが必ずしも良いとは限りません。

大切なのは、本人が目標を理解し、「もう一度やってみよう」と思える経験を増やすことです。

できない問題に取り組んだこと、前回より少し速くなったこと、最後まで練習できたことなど、結果だけではなく過程にも目を向けることで、子ども自身が成長を実感しやすくなります。

保護者としても、「何級になった?」だけでなく、「今日は何ができるようになった?」「難しかったところはどこだった?」と聞くと、結果以外の努力を認めやすくなります。


教室との相性を判断するための確認ポイント

やり抜く力を育てたい場合は、指導内容だけでなく、子どもが継続できる環境かどうかを見ることも重要です。

体験や見学では、次のようなところを確認してみてください。

  • 間違えた子に先生がどのように声をかけているか
  • 一人ひとりの進度に合わせて課題が設定されているか
  • 結果だけでなく練習の過程も見てもらえるか
  • 子どもが「またやってみたい」と感じているか
  • 家庭から無理なく通い続けられる環境か

体験後には「楽しかった?」だけではなく、「難しいところがあっても、またやってみたいと思った?」と聞いてみるのも一つの方法です。


そろばん

やり抜く力を育てるそろばん教室の選び方


級や検定だけでなく過程を見てくれる指導

級や検定は、子どもの成長を確認する分かりやすい目標です。ただし、級を上げることだけが目的になると、「合格できなければ失敗」という受け止め方になってしまうことがあります。

やり抜く力につなげたいなら、結果だけではなく、「前より正確になった」「間違いを自分で見つけられた」「最後まで取り組めた」といった変化も見てくれる教室が向いています。

級や検定は、子どもを評価するためのものではなく、次の目標を見つけるための一つの目印として使うことが大切です。

教室選びでは、何級を目指すのかだけでなく、その目標まで先生がどのように支えるのかも確認するとよいでしょう。


できないときの先生の関わり方

教室の違いが表れやすいのは、子どもができているときより、できないときです。

難しい割り算で止まったとき、同じミスを繰り返したとき、検定で結果が出なかったときに、どのような指導をするのかを見てみましょう。

すぐ答えを教えて終わるのではなく、どこで間違えたのかを一緒に確認したり、「ここまではできている」と伝えたりすることで、子どもは次の行動を考えやすくなります。

やり抜く力を育てるうえでは、「失敗させない指導」ではなく、「失敗したあとにもう一度取り組める指導」が大切です。


続けられる環境と通いやすさの確認

どれほど良い指導でも、通うこと自体が大きな負担になれば継続は難しくなります。

曜日や時間、送迎のしやすさなども含め、家庭の生活に無理なく組み込めるか確認しましょう。

西藤珠算学院では、曽根教場と別府教場で対面授業を行い、条件を満たす生徒にはオンライン授業も用意しています。そろばんは継続と習慣化が大切だからこそ、事情によって学習機会が減りにくい環境づくりを行っています。

習い事選びでは、教育内容だけでなく、「半年後、一年後も無理なく続けられそうか」という視点も大切です。


そろばん

西藤珠算学院が大切にする「最後までやり通す力」


正しく見て・聴いて・情報を処理する学習

西藤珠算学院では、計算の速さだけを目的にせず、「正しく見る・正しく聴く・正しく情報を処理する」という3つの力を大切にしています。

たとえば読上算では、先生が読み上げた数字を集中して聴き、頭の中で処理しながら計算します。聞き逃してしまえば、途中から適当に答えることはできません。

だからこそ、一つひとつの数字に意識を向け、最後まで集中する練習になります。

こうした学習を繰り返しながら、暗算力だけでなく、学習に向き合う姿勢や集中して取り組む習慣づくりもサポートしています。


暗算1級という目標と一人ひとりの積み重ね

西藤珠算学院では、暗算1級の合格を一つの目標として練習を行っています。また、希望する生徒には競技大会への出場もサポートしています。

ただし、大きな目標だけを見ていると、道のりが遠く感じられる子もいます。

そのため、まずは目の前の問題を一つ解けるようになること、前回より正確にできるようになることなど、一人ひとりの積み重ねが重要です。

「できなかったことが、練習したらできた」という経験を何度も重ねることが、次の挑戦への自信につながります。

私たちは、その積み重ねの中で、最後まで取り組む経験を増やしていくことを大切にしています。


体験や見学で確認したいお子さまとの相性

そろばんが合うかどうかは、記事を読むだけでは判断しにくい部分があります。

特に、「集中が続くか心配」「習い事が長続きしない」「計算が得意ではない」といった不安がある場合は、実際の授業でお子さまの様子を見ることが一番分かりやすいでしょう。

西藤珠算学院では、曽根教場・別府教場で授業の体験や見学について相談できます。

最初から「長く続けられるか」を決める必要はありません。

まずは教室の雰囲気や先生との相性を確かめ、お子さま自身が「もう一度やってみたい」と感じられるかを見るところから始めてみてください。


そろばん

そろばんとやり抜く力についてよくある質問


そろばんを習えば必ずやり抜く力が身につきますか?

必ず身につくとは言い切れません。

そろばん学習への好意度と忍耐力・自己効力感との間に関連を示す調査はありますが、そろばんを習うことだけが原因となって、すべての子どものやり抜く力が伸びると証明されたわけではありません。

目標の設定方法、本人の興味、先生の関わり、家庭での声かけなどによっても経験は変わります。

そのため、「そろばんだから伸びる」と考えるより、「挑戦と再挑戦を繰り返せる学習環境か」という点を確認することが大切です。


飽きっぽい子でもそろばんを続けられる?

飽きっぽい子でも、短い目標を一つずつ達成する方法が合えば、続けられる可能性があります。

反対に、課題が難しすぎたり、結果だけを求められたりすると、苦手意識が強くなることもあります。

最初の段階では、長時間集中できることより、「今日はここまでできた」「前回より一つ進んだ」と感じられることを大切にするとよいでしょう。

体験授業では、授業中の集中時間だけではなく、終わったあとに本人がどんな表情をしているか、次も挑戦したいと思えているかも確認してみてください。


何歳頃から始めるとよい?

始める年齢だけで、やり抜く力の伸び方が決まるわけではありません。

数字への興味や、先生の話を聞いて簡単な指示に取り組めるかなど、その子自身の発達や興味を見ながら判断することが大切です。

西藤珠算学院では未就学のお子さまから受け入れており、数字に苦手意識を持つ前に、楽しく数字と触れ合う学習も大切にしています。

年齢だけで迷う場合は、実際に体験してみて、お子さまの反応を見てから判断する方法もあります。


週1回でもやり抜く力につながる?

週1回でも、目標を持って継続する経験を積むことはできます。ただし、そろばんは繰り返し練習することで技能を定着させる学習でもあるため、通う回数だけでなく、学習をどのように習慣化できるかが重要です。

西藤珠算学院では週1回と週2〜3回の授業設定があります。

学校やほかの習い事とのバランスもあるため、多く通えばよいと考えるのではなく、無理なく継続できる回数を選ぶことが大切です。


効果が出ているか確認するときの見方

やり抜く力は、テストの点数のように一つの数字だけで判断しにくい力です。

級が上がったかだけを見るのではなく、日々の行動の変化にも目を向けてみましょう。

たとえば、以前ならすぐ諦めていた問題にもう一度挑戦するようになった、間違えたときに自分で原因を探すようになった、練習を最後まで終えようとするようになった、といった変化があります。

小さな変化は家庭では気づきにくいこともあります。教室での様子が気になる場合は、先生に「最近どんなところが変わっていますか」と聞いてみると、家庭とは違った成長が見えることもあります。


そろばん

そろばんでやり抜く力を育てたい保護者の確認ポイント


  • そろばんでは、小さな目標に挑戦し続ける経験を積むことができます
  • やり抜く力は、嫌なことを我慢して続ける力だけを意味するものではありません
  • 間違いを確認し、もう一度挑戦する過程が粘り強さにつながります
  • 級や検定は、次の目標を具体的にするための分かりやすい仕組みです
  • 不合格や停滞も、次に何を改善するか考える経験になります
  • そろばん学習への好意度と忍耐力・自己効力感との関連を示す調査もあります
  • 調査結果だけから、そろばんによる因果関係を断定することはできません
  • 飽きっぽい子でも、小さな達成を積み重ねる学習が合う場合があります
  • 「続けさせること」より「もう一度挑戦したいと思えること」が大切です
  • 教室選びでは、できないときの先生の声かけや支え方も確認したいポイントです
  • 結果だけでなく、努力や成長の過程を見てくれる指導かどうかも重要です
  • 家庭から無理なく通い、学習を習慣化できる環境かどうかも確認しましょう
  • 西藤珠算学院では、正しく見て・聴いて・情報を処理する力を大切にしています
  • お子さまに合うか迷う場合は、体験や見学で実際の様子を確認できます
  • 「またやってみたい」と思える環境かどうかを、教室選びの基準の一つにしてみてください


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